「ぼくのメジャースプーン」辻村深月。

ぼくのメジャースプーン (講談社ノベルス)

ぼくのメジャースプーン (講談社ノベルス)

「ぼく」は小学4年生。不思議な力を持っている。
「ぼく」の友達ふみちゃんは、たくさん本を読んでいろんなことを知っていて、頭が良くって明るくって運動もできて優しくてフェアで思慮深くて、眼鏡をかけていて歯の矯正をしていて、ウサギが大好きな女の子。「ぼく」はそんなふみちゃんと幼馴染みで友達であることを誇りに思っている。
ある日、クラスで飼っていたウサギが、心無い大人の悪戯によって残酷に殺されてしまった。偶然第一発見者になったふみちゃんは、その日から笑わないし、しゃべらない。心を閉ざして学校へ来なくなった。。。
「ぼく」は、自分の持つ「不思議な力」でふみちゃんを助けるため、犯人に復讐するため、同じ力を持つ秋先生のもとへ通うことになった…。


感動的で、泣けました。
命の重さ、罪と罰の重さ、復讐することの意味、秋先生と過ごした7日間でさまざまなことを考えていく「ぼく」と一緒に私もグルグル悩みながら読みました。
私はもう人の悪意については諦めているので、可愛がっているウサギを虐殺されて傷つく子どもらを見て楽しむような外道野郎とは一生関わりあいたくない。顔も見たくない。謝ってもらいたいとも思わない。謝られても、やったことをなかったことにはできないし許すこともできないと思うのだけれど。
秋先生は「あきらめることも必要」と言っていた。「けれど、怒っていい。」と。
悩んだ末に「ぼく」が下した決心には、本当に驚きました。これは恋愛小説だったのか〜泣けたよ。
『責任を感じるから、自分のためにその人が必要だから、その人が悲しいことがいやだから。そうやって「自分のため」の気持ちで結びつき、相手に執着する。その気持ちを、人はそれでも愛と呼ぶんです。』


ふみちゃんは本当に素敵な子でしたね。この子が魅力的だったからこそ、ふみちゃんに心を惹かれ必死になる主人公の気持ちに納得でき、こんなにも心を打つ小説になったのだと思います。