「幽談」京極夏彦。

幽談 (幽BOOKS)

幽談 (幽BOOKS)

短編集。怪談ぽいものもあるけど、観念的に怖がらせる趣向の作品が多かったかな。「ありえないもの」はありえないと思う気持ちを揺るがすような、私好みのタイプでした。
以下簡単にメモ。
『手首を拾う』別れた妻と七年前に訪れた旅館に一人やってきて…。手首に魅せられた男の異様さが気色悪かった。
『ともだち』死んだ友達の故郷にやってきた男が見たのは…。幽霊の存在を信じない人にとっての幽霊とは?
『下の人』下の人が泣くのよ…。これが一番のお気に入り。ベッドの下を掃除するのが怖くなったじゃないか!
『成人』「成りきれなかった人」の話。ヌルヌル。
『逃げよう』なんだかわからないものから延々と逃げ続ける話。なんなんだ?
『十万年』同級生の女の子は幽霊が見えるという…。これもよかった。十万年に一度起こると決まっている出来事は、人間にとってどんな位置づけになるのか?なんかサルトルを思い出しちゃったな〜。
『知らないこと』隣家の中原さんちのオヤジがおかしい…。現実を直視しない人の話。
『こわいもの』本当にこわいものってなに?