「恋細工」西條奈加。

恋細工

恋細工

錺職椋屋の4代目が早世し急遽5代目を決めなくてはならない。遺言により3年の修行の後、候補者の中から選ばれることとなったが…。


いい話だったなあ。
店を取りまとめながら秘かに女だてらに細工に取り組むお凛と、流れ者で孤高の職人時蔵のの関係が、恋愛を超えた高みにあって、なんとも羨ましかった。タイトルは「恋細工」だけれども恋どころではないの。
天保の改革の圧政に苦しむ江戸の庶民のあり様や、秋田銀線細工の由来なども織り込まれ、最後まで飽くことなかった。流れも自然でラストも感激的。いうことなしの満足。
平穏無事で人並み、ばかりが幸せではないのだ、としみじみ。本当にやりたいことがあるってのはいいな。