「七つの死者の囁き」アンソロジー。

七つの死者の囁き (新潮文庫)

七つの死者の囁き (新潮文庫)

恒川さん狙いで読んだけれど、どれもなかなか良かった。タイトルからわかるように、死者(幽霊)物のホラーやミステリーが多かったかな。
以下簡単なメモ。
『幻の娘』有栖川有栖。殺人事件の容疑者がアリバイ証言で「会話した」と言った美少女は…。儚げ。
『流れ星の作り方』道尾秀介。「花と流れ星」にて既読。
わかっていて再読するとただただ哀しい。少年には幸せになってもらいたい。
『話し石』石田衣良他の作品と違ってオチがない。星新一に捧げていなかったら許せなかったかも。やはりこの人の作品は体に合わないのか。
『熱帯夜』鈴木光司。エリートコース邁進中の男が、彼女と出会ったばかりに…。
これが一番のお気に入り。どん底に突き落とされるようなオチがいい!世の中甘くないのだ。
『嘘をついた』吉来駿作。付き合っていた幼馴染みの彼女が突然の自殺。その彼女からメールが…。
面白かった。女の嫉妬は怖いネ。夜に知らない女の子を車に乗せてはいけません。
最後から二番目の恋小路幸也。死の真際、夢喰いならぬ思い出喰いが現れて、叶わなかった恋が叶った場合の人生をやり直してみないか、と言われ…。
これも良かった。手が込んだつくり方が面白い。
『夕闇地蔵』恒川光太郎。人に見えるものが見えず、見えないものが見えてしまう地蔵助。旅館の息子で仲良しだった冬次郎は、妹の死をきっかけに悪事に手を染めてしまい…。
幻想的。読んでいるうち目の前がチカチカ。こういうの、好きです。恒川さんそろそろ長編でないかなあ。