「まほろ市の殺人」アンソロジー。

まほろ市の殺人 (ノン・ノベル)

まほろ市の殺人 (ノン・ノベル)

架空の街「まほろ市」を舞台に、4人の作家さんが4つの季節で中編を書く、という企画だったらしい…7年前に文庫本4冊で販売されたものを一冊にまとめてこのお値段。お得のような気もする?ま、私は買ったわけではないので、そもそも何か言える立場ではともいえないけれど。
内容は、どれもそこそこ面白うございました。個性が感じられてよかったな〜と思います。正直、これは!と思うのがなかったけどね。せっかく同じ街を舞台にして書いているのだから、もっとそれを生かしたネタにして欲しかったなあ。
以下、メモ。
『春 無節操な死人』倉知淳
マンション7階の住人である大学生カノコちゃんがベランダの外側に不審者を発見、思わず突き落としてしまった…。
お気楽極楽な大学生たちが巻き込まれた殺人事件、結末もフワフワした感じがのどかでいかにも春っぽい。トリックはありえなさそうだけれど、伏線をキレイに拾っているところが好感もてました。
『夏 夏に散る花』我孫子武丸
デビュー作のあとはサッパリ、の新人作家。ファンレターをくれた女性に恋をした。が、取り持ってくれた友人が殺されて…。
すれ違いの恋が切ないお話だった。でも友人が実は○○○○○○○というのは興ざめ。
『闇雲A子と憂鬱刑事』麻耶雄嵩
人気作家で地元の有名人である闇雲A子が連続殺人事件を解決しようと乗り出す…。
これが一番のお気に入り。破天荒な闇雲A子のキャラ、謎解きを丸投げする投げやりな展開、ブラックなオチ、どれもクールでかっこいい。この作家さんは今まで読んだことがなかったけど、ちょっと注目したい。
『蜃気楼に手を振る』有栖川有栖
強盗犯が逃走途中で事故死、たまたま通りすがった満彦は盗まれた金を着服したが、兄史彰と口論になり…。
これはトリックが、ありえなくはないんだろうけれど現実味がないでしょ。いまいち。