「失恋延長戦」山本幸久。

失恋延長戦

失恋延長戦

放送部の米村真弓子が主人公。同じ放送部の同期大河原くんに恋している。なかなか打ち明けられないでいる間に…。


出だしはいい感じだったのに、ナントびっくり!そういえばタイトルがそうだった。失恋だあ(泣)。で、延長戦〜長い長い延長戦〜ラストは何とか決着して感慨無量だった。
人生を達観しているようでいて(諦めが早いともいう)、恋愛に関しては10代のウブで不器用さを引きずる真弓子が痛々しくもあり、可笑しくもあり。現実の恋は大概思うようにはいかないが、小説の中の恋ぐらい上手くいってほしかった、って贅沢か。
主人公だけでなく、他の登場人物もかなり不器用。勘が良くって先読みできたり、相手の気持ちを察するのが上手い人間なんて幻想なのやも。だからすれ違う気持ちがリアル。
腐れ縁の藤枝は、真弓子をはるかに凌駕する不器用さで笑わせてくれた。なんだって頑なに必死なんだろうね、この人は。若いうちは色々やってみればいいとは思うけれど、もっと地に足が着いた人生を模索してほしい、と親は思っているに違いない。ウチの子だったらお母さんは床に伏しそうだ。
可愛いだけがとりえの蔦岡は、無神経だ。確かにむかつく(笑)。 男って女は可愛いければいいのか?いや、これは僻みですよ?


そしてベンジャミン(飼い犬、♂)。こんな終わり方だなんて卑怯だあ(号泣) 最初から最後まで脇役としていい味出してました。一番好きな登場人物だったよ。