「いつか陽のあたる場所で」乃南アサ。

いつか陽のあたる場所で (新潮文庫)

いつか陽のあたる場所で (新潮文庫)

前科のある女性2人が主人公。治療院の受付アルバイトをする芭子は過去の罪を世間に知られることを恐れ、なかなか人に世間に馴染めずおどおどと暮らす日々。家族には絶縁された。パン職人を目指して働く綾香は前向きで積極的な性格。罪を償ったのだからもっとやりたいことをやればいい、という…。


なかなか良かった。
下町ゆえ隣近所の付き合いが密で、立ち聞きされたり詮索されたりすることが怖い芭子がビクビクし続ける姿が痛々しかった。そんな芭子もラストには強く変化した兆しが…続編が楽しみ。
それとは別に。芭子が縁を切られてしまった両親に対しことあるごとに恨み言を吐くのが見苦しいな〜と感じた。芭子が犯した罪によって家族が受けた苦しみだって計り知れない。もうちょっと慮ってくれたらよいのになあ。今は無理でも将来再会できそうな気がするよ。それと、被害者に対しての感情の描写が全然ないのは何故?と思ってしまった。
色々ひっくるめて、続編に期待しております。