「あんじゅう―三島屋変調百物語事続」宮部みゆき。

あんじゅう―三島屋変調百物語事続

あんじゅう―三島屋変調百物語事続

「おそろし」の続編。今回も大変面白うございました。
訳あって叔父の家三島屋に身を寄せるおちかが、広く百物語を集め話を聞く、というお話。前作に比べ、おちかに余裕が出てきたよう、前作の最後である程度の気持ちが整理が付いたためと思われますが、訪れた客の話を聞く態度も堂にいった感じでした。いつまで続けるのかな…まだまだ続きをみたいなあ。
それから、新聞連載だったせいかイラストが満載で楽しかった。特に『逃げ水』の最後のイラストが一番!

以下メモ。
『逃げ水』は、「お旱さん」という山の主と少年のお話。泣けました(/_;) 都合のいいときだけ神仏に頼る人の浅ましさが醜くかった。しかし人と違う時間を生きる神様と気持ちがすれ違うのも仕方のないことのように思えるし、喉元過ぎて熱さ忘れる、そういう愚かなのが人間なんだ…。お旱さんの可愛らしさが抜群に◎。
『藪から千本』は、三島屋の隣家、住吉屋さんの娘お梅とお花の双子を巡るお話。これも泣けました(>_<) 家族の絆が強いあまりにすれ違う心、人の気持ちの複雑さ、悲しい経緯をとても丁寧にたどっていて良かったです。 ここで心強いお勝さんが仲間入り。
『暗獣』は、幽霊屋敷に住み着いた「くろすけ」のお話。これまた泣けました(T_T) 人と人ならざるものが心を通わした日々、悲しい別れ。とても切なかった…。
『吼える仏』は、山深い里で起こった恐怖の出来事。山の恵みのおかげで豊かに暮らせていたのに、考え方の違いからとんでもないことに…。集団心理が怖ろしく、気の滅入る結末でした。