「メグル」乾ルカ。

メグル

メグル

大学の学生部奨学係の悠木が学生たちに半強制的にアルバイトを斡旋する。そのアルバイトが学生たちにとって「今必要な何か」をもたらす不思議。


乾ルカ作品。予想していた内容と全く違ってましたが大変面白かったです。一つ目のお話「ヒカレル」の展開でまず驚き、後は一気読み。ホラーがかった体験の数々がミラクル、謎の職員悠木さんが魅力的で、これは大当たり。他の作品もぜひ読みたいです。
以下備忘メモ。
『ヒカレル』高橋が紹介されたアルバイトは、お寺で通夜を迎えた御遺体の手を握って一夜を明かす、というもの。そっち系の作品と知らなかったのでとにかくビックリでした。しかも感動もので二度ビックリ。
『モドル』父親が病に倒れて以来家庭内がギクシャクしているため家に帰りたくない飯島。紹介してもらったバイトは、病院の売店の棚卸しの手伝い。これもいい話だった。
『アタエル』高口は、悠木に「相応しくない」と言われたのに無理に頼んで犬の餌やりのバイトを紹介してもらった…。これはちょっと怖いしヒドイし、嫌な感じがジワジワ。
『タベル』橋爪のバイトは「夕食を食べる」こと。これはとってもいい話だった〜泣けた。何を食べるかではなく「誰と食べるか」。お友達の小泉が本当にいい奴だった。こうありたい。
『メグル』大橋が受けたバイトは「庭仕事」。めぐる季節、穏やかな時間。なんて切ない。悠木さんには幸せになってほしい。