「月と蟹」道尾秀介。
- 作者: 道尾秀介
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/09/14
- メディア: 単行本
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舞台は鎌倉。
主人公は小学5年生の慎一。父親は2年前に癌で死に、母親と祖父の3人暮らし。同級生の春也は父親から虐待を受けている様子。同じく同級生の少女鳴海は10年前に母親を事故で亡くしている。3人はヤドカリを使った儀式で願いをかなえることをこっそり行っていたが…。
やるせない思いが全編に渡って溢れまくり、読んでいて大量のストレスが…いささか疲れました。子どもに嘘をつく大人への憤り、友人から受ける理不尽な嫌がらせ、貧乏等々。子ども達が抱えるどうにもならないことへの苛立ちがジワジワと。
最初は子どもらしい鬱屈を、子どもらしい発想の解決方法で薄めていっているようだったのに、積み重ねていくうちに無邪気な子どもらしさは消え去り、知らず知らず真っ黒な方向へ吸い寄せられていってる。ゾクッとくる怖さ。このジワジワ迫ってくる加減が絶妙でした。
最後はホッとしました。よかった。本当に良かった。
巷で賞狙いとか言われてんの?道尾さんのブログで初めて知りました。結構憤慨していらっしゃるような…。
どのへんをもって賞狙いというのかしらんが、面白ければいいやん。最近は富に上手くなってきていると感じるし、私は好きよ。好きな作品だから賞もとれるといいと思う。