「一鬼夜行」小松エメル。

(P[こ]3-1)一鬼夜行 (ポプラ文庫ピュアフル)

(P[こ]3-1)一鬼夜行 (ポプラ文庫ピュアフル)

時代は明治の初期。
百鬼夜行の列から落っこちてきた鬼で、子どもの姿形をした小春と、人から裏切られ続け、すっかり人間嫌いになった古道具屋の喜蔵が出会った。妖怪と人との人情味溢れる物語。


図書館に入らなかったので購入した本。
屈託がなく可愛いけど妖怪の恐ろしさを持った小春に振り回される頑固者の喜蔵が、次第に心の扉を開いていく話なんですが、「妖怪は信じられるのか?」という点をあやふやなまま最後まで引っ張っていて、安心ならなかったのがよかったと思います。孤独の中にあった二人が距離を縮めていったり、離れていったり。
デビュー作ゆえか硬さが残る文章でちょっぴり読みづらかったけれど、面白く読めました。小春や喜蔵の身の上はもとより、脇役の河童や蟲の思いにも、キュンときました。続編あるのかな?