「この国。」石持浅海。
- 作者: 石持浅海
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2010/06/10
- メディア: 単行本
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戦争を経験してこなかった日本は一党独裁政権になりました、という架空の設定がよいね。徹底した合理主義で管理社会にある日本が無理なく飲み込めた。ありえなく歪んだ国でも、リアルの日本と離れているからあまり嫌悪感がなかったな。
そしてだからこそ主人公警察幹部の番匠がカッコよく思えた。「この国」では正義を守るヒーローだ。対するテロリストたちは何に憤っているのかわからない、わがままで不合理な人たちとしか感じられなかった。
ま、そう感じるのも、フィクションだからでしょうけどね!絶対うちらの国はこうならないだろう、という確信があるから。根拠はないけど(汗)
前に読んだ「攪乱者」ではリアルな日本が舞台で、憤るテロリストに正義が感じられたけれどもねえ。うまいね、石持さん。
お気に入りは、テロリストは絡まない「ドロッピング・ゲーム」と「ディフェンディング・ゲーム」。歪んだこの国における正しさがよく理解できるお話だった。