「月のさなぎ」石野晶。

月のさなぎ

月のさなぎ

数千人に一人生まれる月童子と呼ばれる子どもは、性別が定まらぬうちに生まれるため不安定で免疫を持たない。18歳前後で男か女か決まり抵抗力がつくまで外界から隔離された学園で暮らすのだった。。。


第22回ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。SFファンタジーで学園ミステリー。大変面白うございました。満足。
隔絶された全寮制の学園が舞台。美しいお子達がお祈りや勉学、学園祭の準備に日々を過ごす風景はとても美しく、脳内で萩尾望都の絵柄に変換して読みました(笑)。
男か女かわからない子達は、皆繊細でナイーブ。性別が決まる年齢が近づくにつれ気が休まらず不安に駆られたり(恋もままならないし)、いずれ外の世界へ出て行かなければならないことで心細く思う子や、隔離されていることに苛立ち外に憧れを大きくする子など、それぞれの思春期の苦悩が痛々しく。。。
そして起こる殺人事件。
と、驚きの真実。
詳しくは書けませんけど。感想も書きづらいな…。何も知らないままでいたほうが幸せだったのか。真実を知ってどう生きるのか。激しく突きつけられたような結末がとても苦しかったな。
美しい世界観、読みやすい文章、で私にはとても好みの作品でした。今後の作品が楽しみな作家さんですな〜。

余談

ちょいと前に読んだ「あなたに贈るキス」に色々似てる。全寮制なところ、肝が○○○○。こちらの方が隔離度が高く上品で耽美でファンタジー、読み手を選びそうな。