「水底フェスタ」辻村深月。

水底フェスタ

水底フェスタ

夏フェスを誘致して、ジリ貧から一転潤った村に変身した睦ッ代村。村長の息子広海は、夏フェス会場で、村出身の有名人、モデルで女優の識場由貴美を見かけて……。
気分の悪さが徐々に高まっていき、最終章に最高潮。ラストは苦しい展望が垣間見えただけ。読後感がすこぶる悪かった。
無垢な少年が、村の後ろ暗い因習を知っていく過程の憤慨や戸惑いが悲しくて辛い。私もいい歳した大人だから「大人は汚くてズルイ!誰も信じられない!」などとわめき散らしたりしないし、だいたいもうすっかり汚れているだろう。けれども。
子どもを裏切るような、騙すようなことはしたくない、とは思うのだった。←とかいっていること自体がズルイよなあ。