「オブ・ラ・ディ オブ・ラ・ダ」小路幸也。

オブ・ラ・ディ オブ・ラ・ダ 東京バンドワゴン

オブ・ラ・ディ オブ・ラ・ダ 東京バンドワゴン

東京バンドワゴンシリーズの第6弾。
研人はすっかり立派なお兄さんでギター小僧だし、花陽は医者を目指したり、と子どもの成長の早さにビックリ。淑子さんは旅立ち、藤島さんは気持ちに区切りをつけ、と色々なことが今回もありました。登場人物が増えて、久しぶりの方々には思い出せない人もいたりしましたがそれは気にせず流して。以前はもっと「日常のミステリー」ぽかった気がしますが、そういう色は薄くなりつつあるのかな。
まあそれはどうでも、何より一番は堀田家が今までどおり皆で集まってごはんを食べていることではないでしょうか。なんて幸せな日常でありましょうか。辛い別れがあったり、お金に余裕がなかったり、またやトラブルに見舞われたとしても、家族が共に食卓を囲めるのは幸いですね。そして新たな出会いがあって、おせっかいの輪は広まる一方、ずっと続いて欲しいシリーズです。
このシリーズは毎年4月に新刊が出るらしく、これは去年の4月に出たやつなんですが、楽しみにしてるわりに読むのがこんなに遅くなっちゃったのは、自分で購入した本だから(汗)。今年の新刊「レディ・マドンナ」を図書館から借りてきたので、あわてて読んだのでした。いつも借りてすませてたのにあえて買ったのは、小路さんがこの印税を震災の義援金に贈る、といってくださったことに感激した勢いで。被災地に住んでいるとなかなか自ら寄付することなんかなかったからこういう形でもいいかな〜とか思ったのでした。今となっては懐かしいこと。

「銀色の絆」雫井脩介。

銀色の絆

銀色の絆

フィギアスケートで世界を目指す母と娘の物語。
スケートの話と知らずに読み始めたので最初は面食らいました。ミステリーやサスペンスではなく、スポ根もので母親視点中心。
ちょっとした習い事のつもりで娘にスケートをさせていたセレブぶった母親が、一流のコーチに出会ったのをきっかけにのめりこんで行くというストーリーに、反感も覚えましたが、最後には感動も。。。涙。挫折しないでよかった。
ちょうどオリンピックの時に読んでいたので、やたら感慨深かった。メダルを取った選手の人たちは一様に「自分ひとりの力ではない」と言いましたが、まさにこのことで、どんな一流の選手もまずは家族の応援や手助けがなければ始まらなかったのだなあ、としみじみ思いました。そしてオリンピックに選ばれなかったたくさんの選手たちのことも。。。
しっかしさー、この本に出てくるのが事実に近いのだとしたら、お金の問題はどうにかならないんだろうか。結局金持ちしか子どもにスポーツ(以外にもあれこれ)させられないんじゃ、あんまりだ。

「禍家」三津田信三。

禍家 (光文社文庫)

禍家 (光文社文庫)

交通事故で両親を亡くした少年が、祖母と一緒に移り住んできた一軒家。初めての町なのに懐かしく思われる不思議。やがて得体の知れない何かが少年を次々襲い……。
夏にぴったりなホラーミステリーでした。作中の季節は春なんだけどね。
頭の中で想像しやすくするためなのか、町並み、自宅の間取りなんかの説明が細かい。そして何より、恐ろしい「何か」の描写も執拗。序盤はそれがくどく感じられて退屈だったりもしたのですが、徐々に興に乗ってきて妄想たくましくなり、ますます怖いつーの、もう!
ラストは一旦安心させといて最後の一行で恐怖に叩き落すやり方、見事でした。
いつなんで買ったのか覚えていない自前の本でございます。やっと読みました。

「三匹のおっさん ふたたび」有川浩。

三匹のおっさん ふたたび

三匹のおっさん ふたたび

三匹のおっさんが「ふたたび」活躍するお話。
おっさん(というかジーサン)たちだけでなく脇役の方々にもスポットが当たって賑やかで楽しく読めました。前作に比べて起こる事件がより身近な感じの「よくある嫌なこと」だったか。書店の万引き、ゴミのポイ捨てなんかは、残念ながら度々聞く話。悪ガキどもをつかまえてしかるシーンは気持ちいい半面、おっさんたちにもどうしようもないことがあったりで、若干爽快さには欠けたかも。
しかしながら、おっさんたちには是非今後も元気に活躍してもらいたいです。続編希望。
オマケの短編は、有川作品愛読者にはうれしいあの話。あとがきは耳の痛い提言でした。毎月毎年何冊も読むような人ほど、図書館の利用度が高いんじゃなかろうか。私も鋭意努力しているつもり、まあ、そこそこお金は使っていると思いますゆえ、これ以上は勘弁して欲しいってのが正直な気持ち。

「さよならドビュッシー」中山七里。

さよならドビュッシー

さよならドビュッシー

2009年の「このミス大賞」作品。ずっと興味があったのをようやく。新刊を追うのをやめると、余裕ができて読みぱぐってたものに手が出せるのだった。
地主の屋敷の離れで火災があって、地主と二人の孫娘が被災、うち孫娘一人だけが大やけどを負いながらも一命を取り留めて……。
その孫娘さんが必死のリハビリや数々の嫌がらせを乗り越えピアノコンクールに出場する血と汗のストーリーでありました。ちょっとウルッとした。少女が次々と不幸に見舞われる姿が痛々しく、それが最後まで執拗に繰り返されるが、まるで一昔前の昼ドラか、ど根性ものの少女漫画っぽくて、たとえリアリティーがなくとも(失礼!)面白かったのです。あと、音楽の描写が細く丁寧で、曲の魅力を十分に感じました。
「このミス」だからミステリー部分もちゃんとあるんだけど、それほど重点が置かれてないんじゃないかな(いや、はっきり言って序盤でわかっちゃったし。私がわかるぐらいだから誰でもわかったんじゃないのか)。
実写映画になるんだそうで。余程の出来で評判にならないかぎり見に行かないと思いますが、包帯少女が好きな人には受けそうだ、と思うの。

「アネモネ探偵団 香港式ミルクティーの謎」近藤史恵。

アネモネ探偵団 香港式ミルクティーの謎

アネモネ探偵団 香港式ミルクティーの謎

近藤さん初めての児童向けミステリーだそうで。読んだ印象だと、対象は児童よりもローティーンの女子って感じじゃない?
お嬢様学校に通うセレブな女の子3人と、隣の学校に通う庶民な男の子2人が主人公、中学1年生。
どの子もとても可愛らしいのだけれど、特に女の子たち3人がセレブなところがよかった。美味しいお菓子、おしゃれな服、ハイソな生活、学校休んで香港旅行、なんてワンダフル、夢があふれてるじゃありませんか、と思う庶民な私。探偵団、というほど事件の謎ときはしていないのが物足りなかったかな。男の子たちは無力だったけどいい仕事はしたな。
と、おおむね対象年齢外の私の感想でした。シリーズあと2冊出ているらしいので、いずれ読みます。