「家族趣味」乃南アサ。

家族趣味 (新潮文庫)

家族趣味 (新潮文庫)

「日常に潜む狂気を抉った」短編5編。
『魅惑の輝き』宝石に魅せられて道を踏み外してしまった女性のお話。彼女は、本当に病気だったと感じました。依存症ですね。自分にとって価値のあるものが、他人もそうとは限らないのに、この人は、、、。オチは普通。
『彫刻する人』小太りな男性が肉体改造に目覚めちゃったお話。ま、最後は「ウッカリ」で笑って終わりにすればいいものを、取り返しのつかない結果にするのが乃南さんらしい(ってことにようやく気づいたよ、私は)。
『忘れ物』尊敬できる上司を持ったOL。新しく配属されてやってきた男性と付き合い始めたら…。これが一番のお気に入り。ミスリードさせるやりかたで、驚かされた。と、この上司が、、、怖いんです、ホント。てか最早ホラー。
『デジ・ボウイ』成績優秀なのに生きる目的を見出せず無気力無感動な少年が、従兄弟の大怪我の際に取った行動は、、、。あとがきで柴門ふみが「涙と救い」って書いてたけど、そうなのか?私には「涙と絶望」にしか思えなかった。彼はちゃんと気づいて変われたのだと思う。そして彼が自分で言っているように「手おくれ」になってしまった。手遅れじゃだめじゃん。。。
『家族趣味』若いうちに結婚して子ども産んで女の使命を終わらせといてから、仕事も遊びも目いっぱい楽しもうとしている女の野望と転落。気持ち悪い女の話だった。これに関しては手加減なしのオチでよかった、と思いました。


せいいちさんにお勧めいただいた本、あとあじが悪いお話ばかりで楽しめました。←や!面白かったってことですよ(笑)